潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)は、厚生労働省が指定する難病のひとつであり、今なお根本的な完治が難しい疾患です。
原因不明の慢性的な腸の炎症により、腹痛、下痢、血便などの症状が繰り返し現れ、日常生活に多大な影響を及ぼします。
症状があるとき(活動期)と、比較的落ち着いているとき(寛解期)を繰り返すのが特徴で、「今日は大丈夫でも明日はわからない」といった不安を常に抱えている方も多いでしょう。
潰瘍性大腸炎を患う多くの方がぶつかるのが「食事との付き合い方」。
この記事では、食事で気をつけたい基本的なポイントから、寛解期・活動期それぞれの食事の工夫、実際の声や注意点まで、わかりやすく5つの観点から解説します。
- 自分の体を知る
- 寛解期と活動期で食事を“切り替える”
- 腸にやさしい調理法を覚える
- 食べたものと体調の“記録”を習慣に
- “ゆるいルール”を作ろう
自分の体を知る

まず、誤解されがちなのは「潰瘍性大腸炎=厳格な食事制限が必須」というイメージです。
実は、UCは人によって症状の出方や許容できる食品がまったく異なるため、画一的な食事制限は推奨されていません。
とはいえ、「何でも食べていい」という意味ではありません。
食事が炎症を引き起こしたり、下痢や腹痛を悪化させたりする可能性はあるため、「自分の体と相談する」「体調日記をつける」といった“食事と向き合う姿勢”が非常に大切です。
2. 寛解期と活動期で食事を“切り替える”
潰瘍性大腸炎と上手に付き合っていくには、「いつも同じ食事」ではなく、体調によって“調整する”ことが欠かせません。
寛解期:栄養バランスと腸内環境を意識
寛解期は、栄養をしっかり摂るチャンスです。炎症で吸収が落ちていた栄養素(鉄、ビタミン、たんぱく質など)を補い、体力の回復を図ります。
寛解期におすすめの食材
- 白身魚、ささみ、豆腐(良質なたんぱく質)
- じゃがいも、にんじん、大根(加熱してやわらかく)
- バナナ、りんご(腸にやさしい果物)
- 白米、おかゆ、うどん(消化の良い主食)
発酵食品(ヨーグルトや納豆など)は、腸内環境の改善に役立つ可能性もありますが、人によって合わない場合もあるため、慎重に試してください。
活動期:消化しやすさと低刺激を

腹痛・下痢がひどい活動期は、「食べる=体に負担がかかる」時期です。
無理して食べるより、必要最低限の栄養と水分を摂ることが最優先です。
活動期に向いている食べ物
- 重湯、おかゆ、うどん
- 白身魚のすり身、豆腐
- 卵スープ、味噌抜きの味噌汁
- 経口補水液(OS-1など)
少量ずつ、回数を増やして摂取し、体調を見ながら少しずつ増やしていきましょう。
活動期に気をつけたい代表的な食品
- 脂っこいもの(揚げ物、肉の脂身など)
- 刺激物(唐辛子、カフェイン、アルコール)
- 不溶性食物繊維が多いもの(ごぼう、たけのこ、きのこ類、玄米)
- 乳製品(下痢を引き起こす場合)
- 加工食品(添加物が多いと感じるもの)
症状が落ち着いている寛解期でも、無理をしないことが基本です。
3. 腸にやさしい調理法を覚える
同じ食材でも、調理法によって消化への影響が大きく変わるのがUCの特徴です。
腸にやさしい調理のコツ

- 油を控える(揚げるより蒸す・煮る)
- 食材は細かく切る・すりおろす
- 加熱時間を長めにする(野菜はクタクタになるまで煮る)
- 出汁の風味を活かし、塩分は控えめに
- 冷たいものより常温・温かい料理を
特に活動期は、「嚙まなくても飲み込めるやわらかさ」を目安にすることで、腸への刺激を最小限に抑えられます。
4. 食べたものと体調の“記録”を習慣に
食事と症状の関係は非常に個人差があるため、「自分に合う・合わない」を見つけていくことが最大の予防策です。
食事記録で書くとよい内容
- 日付・時間
- 食べたもの(調理法も)
- 食後の体調(腹痛、便の状態、倦怠感など)
- ストレスや睡眠状況
記録は、病院での診察時にも役立ちますし、自分自身の「NG食品リスト」や「体調の変わり目」を客観的に知ることができます。
5. “ゆるいルール”を作ろう
潰瘍性大腸炎と付き合ううえで、「一生、○○を食べられない」と思い込んでしまうと、気持ちがすり減ってしまうことがあります。
たとえば、
- 「どうしても唐揚げが食べたい日は、1個だけゆっくり味わう」
- 「記念日だけは少し贅沢して、あとは調整する」
- 「旅行中は無理せず、事前に食べられそうなお店を調べておく」
といった、自分なりの“折り合い”をつけることが心の支えになります。
もちろん、体調を優先することが第一ですが、「病気のせいで、楽しみを全部あきらめなきゃ」と思わなくてもいいんです。
職場ランチを乗り気るコツ

潰瘍性大腸炎の方にとって、仕事中のランチは体調管理のカギになります。
職場の人の目が気になることがあるかもしれませんし、外食が多くなりがちな環境かもしれません。
無意識のうちに腸に負担をかけてしまっているかもしれませんね。
仕事中のランチで気をつけたいポイントを具体的にご紹介します。
- 「安全メニュー」を決めておく
- “温かいもの”を選ぶだけで負担を軽くできる
- 会議・外出前は“軽めランチ”にしておく
- 下痢・腹痛時は「食べない」という選択肢もOK
- 念のための「お守りアイテム」を常備する
1. 「安全メニュー」を決めておく
体調が安定しているときでも、「いつもの定番」を持っておくと安心です。
たとえば:
- コンビニ:
- おにぎり(梅・鮭など具がシンプルなもの)+味噌抜きの野菜スープ
- サラダチキン+白米+バナナ
- 社食:
- 白身魚の煮付け定食(小盛)
- うどん(天かすや生卵は避ける)+温野菜
- 外食:
- おかゆセット
- 焼き魚定食(味付け薄め)
「脂少なめ」「刺激物なし」「量を控えめ」にが鉄則です。
2. “温かいもの”を選ぶだけで負担を軽くできる
冷たいサンドイッチやアイスコーヒーより、温かいスープ、白湯、お茶などを取り入れるだけでも、消化器官の負担はグッと減ります。
特に冬場や空調の効いた室内では、腸が冷えてしまいがち。腸を温める意識を持つだけでも体調管理につながります。
3. 会議・外出前は“軽めランチ”にしておく
午後に緊張する予定がある日は、「控えめに食べておく」ことで下痢・腹痛のリスクを下げられます。
- おにぎり1個+ゼリー飲料
- うどん少なめ+ゆで卵
- 豆腐ハンバーグ+小ライス
「空腹にならない程度」「消化のいいもの」を意識するのがポイント。
4. 下痢・腹痛時は「食べない」という選択肢もOK

無理して食べるよりも、OS-1やゼリー飲料だけで済ませる方が、午後を乗り切れることもあります。「食べなきゃ体力が…」と焦らず、自分の体と相談を。
5. 念のための「お守りアイテム」を常備する
- 整腸剤(主治医がOKしているもの)
- 経口補水液(OS-1など)
- カイロ(お腹を温める用)
- においの少ないウェットティッシュや着替え(万が一に備えて)
これらがあるだけで、「もしものときも大丈夫」という安心感が生まれ、ストレス軽減にもつながります。
自分の体と対話しながら食べる
潰瘍性大腸炎と付き合う食事は、「ガマン」ではなく、「調整力」が大切です。
「これは大丈夫」「これはやめておこう」と、自分自身の身体の声に耳を傾けることが、最大のセルフケアになります。
職場の人からランチに誘われる日があるかもしれませんが、事前に事情を伝えておくと安心です。
難病を抱えながら働きやすい職場を探したいという方は、こちらの記事も参考になさってください。
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