「この子に合う勉強の方法って、どうやって見つけたらいいんだろう?」
「家庭教師って本当にうちの子の力になってくれるのかな…?」
ADHD(注意欠如・多動症)を持つお子さんの子育てに日々奮闘する中で、勉強面のサポートとして「家庭教師」を検討するご家庭が少なくありません。
けれど、いざ探し始めると、選択肢が多すぎて迷ってしまったり、「うちの子に合う人なんているのかな…」と不安になったりすることもありますよね。
筆者は、身体障害・最重度知的障害の息子を育てているママです。児童発達支援士という資格を取得し、子育てについて日々考えております。母目線で、ADHDの特性を理解した上での“家庭教師選びのポイント”を丁寧に解説します。
お子さんに寄り添えるサポートを見つけ、一緒に最善の方法を考えていきましょう。
そもそもADHDの子どもに家庭教師は必要か

「本当に必要なのかどうか」――これは、最初に誰もが悩むポイントです。
ADHDを持つお子さんは、決して「勉強ができない」わけではありません。けれど、
- 注意が散りやすく集中が続かない
- 忘れ物が多い
- 指示を聞いても行動に移せない
といった特性から、学校の集団授業では力を発揮しづらいことが多いのです。
そうした中で、一対一でペースを合わせてくれる家庭教師は、お子さんの「分かる」「できる」を育む大きな味方になると考えられます。
学校で自信をなくしてしまっている子にとっても、「自分はできる」という感覚を取り戻す場になり得ます。
ADHD特性に合った家庭教師選びのポイント6つ

いままで療育や放課後デイサービスを利用した経験があるという方もいるでしょう。
これらの施設を決める時、1番重視するポイントはどこでしたか?
家庭教師選びにも通じる部分があると思いますので、まずはご家庭の方針をしっかりと確認し、何を主軸に何を求めていくべきかを考えてみましょう。
1. ADHDへの理解があるかどうか
これは最も重要なポイントです。ADHDについて何も知らない先生では、うまくいかない可能性が高くなります。
例えば、
- 「なんで集中しないの?」と叱る
- 「何度言っても直らない」とイライラする
- 特性に合わせた工夫をせず、一般的な指導法を押し付ける
こうした対応は、お子さんの自尊心を傷つけてしまいかねません。
▶チェックポイント
・ADHDの特性や対応について学んだ経験があるか
・特別支援教育や発達障害児の指導経験があるか
・お子さんの特性に合わせて教え方を柔軟に変えられるか
「ADHDについて少しでも理解がありますか?」という質問は、面談時に率直に聞いてみましょう。
2. 子どもと“相性が合うか”を最優先に
家庭教師は“人対人”の関係性です。どんなに実績があっても、子どもとの相性が合わないと成果にはつながりません。
ADHDを持つ子は特に、
- 「この人は自分を分かってくれる」と感じられるか
- 話を聞いてもらえる安心感があるか
- 優しく接してもらえるか
などが大きな安心材料になります。
▶チェックポイント
・第一印象でお子さんがリラックスできているか
・先生が子どもを否定せず、肯定的に関わろうとしてくれるか
・子どもの話にしっかり耳を傾けてくれるか
体験授業の場で「親子ともに“安心して任せられそう”と感じるかどうか」が大切です。
3. 教え方が視覚・体感型に工夫されているか

ADHDの子どもは、耳からの情報処理(聴覚)よりも、目に見える形や手を使って体験することで学びやすいという特徴があります。
たとえば、
- 絵や図を使って説明する
- 実物を使って体験させる
- 小さな成功を積み重ねていく
といった教え方をしてくれる先生は、理解力や集中力を引き出すのが上手です。
▶チェックポイント
・ノートだけでなくホワイトボードやカードなど視覚支援を活用しているか
・子どもの「できた!」という体験を引き出そうとしてくれるか
・教え方に遊び心や柔軟さがあるか
4. 時間設定やペースの工夫ができるか
「60分ずっと集中して座っている」のは、ADHDのお子さんにとってはとても大変なこと。無理に頑張らせるよりも、休憩をはさんだり、短時間で切り替える工夫をしてくれる先生が理想的です。
▶チェックポイント
・「25分勉強+5分休憩」などの時間配分が可能か
・疲れたり飽きたりしたときの対処法を持っているか
・「やらせる」よりも「一緒にやる」姿勢で関われるか
お子さんの集中の波に合わせて調整してくれる先生だと、親としても安心ですね。
5. 親とのコミュニケーションを大切にしてくれるか
家庭教師と保護者との連携もとても重要です。毎回の指導後に一言でも「今日はこんなことができました」と共有してくれるだけで、家庭での声かけやフォローもしやすくなります。
▶チェックポイント
・指導内容や子どもの様子を丁寧に伝えてくれるか
・親の話を聞きながら、共にサポートする姿勢があるか
・「困ったことがあれば何でも相談してください」と言ってくれるか
保護者と信頼関係が築けていると、お子さんも安心して取り組めるようになります。
6. 教科の成績だけでなく「自信」を育てようとしてくれるか

ADHDのお子さんは、勉強そのものよりも、「できた!」という達成感や、「わかってもらえた!」という自己肯定感を得ることで、ぐんと前向きになります。
成績アップよりもまずは**「自分にもできる」という感覚**を大切にしてくれる先生が、お子さんにとっての“味方”になります。
▶チェックポイント
・できたことを小さなことでもたくさん褒めてくれるか
・勉強以外の「子どもの良さ」にも目を向けてくれるか
・「長い目で一緒に見守る」というスタンスがあるか
ADHDの子にとって「オンライン」か「対面」か
家庭教師は「オンライン」か「対面」かが選べます。
どちらも一長一短ありますので、どちらが良いというわけではありません。
ご家庭にとって大切にしたいポイントに合わせて、心地よく授業が受けられる環境を整えていきましょう。
【1】対面家庭教師のメリット・デメリット

◆メリット
- 直接のやりとりで集中しやすい:先生が目の前にいることで、お子さんの注意を引きやすくなります。
- その場で教材や動きを使った工夫ができる:ホワイトボード、積み木、カードなどを使って視覚的・体感的な指導がしやすい。
- 表情・気持ちの変化に気づきやすい:ちょっとした集中の切れや疲れに、先生がすぐ対応できます。
- 身体的なサポートもしやすい:手が止まっていたら鉛筆を一緒に持つ、プリントを一緒に見るなど、身体感覚を伴った支援が可能。
◆デメリット
- 送り迎えや在宅の手間がかかる:家庭に先生を迎える準備や、学習環境の確保が必要になります。
- 地域によって選べる先生が少ない:地方だと、発達障害に理解のある先生を探すのが難しい場合も。
【2】オンライン家庭教師のメリット・デメリット

◆メリット
- 全国から先生を選べる:発達障害支援に詳しい先生や相性の良い先生を、地域を問わず選べます。
- 送迎不要で親の負担が軽い:自宅のパソコン前で完結するので、家庭のスケジュールに合わせやすい。
- 自宅という安心できる環境:慣れた空間で落ち着いて取り組める子もいます。
- 録画やチャット機能などデジタルの利点が活用できる:後で復習しやすい、メモ代わりに活用できるなどの工夫も可能。
◆デメリット
- 集中が続かない場合も:画面越しでは集中力が持たず、注意がそれやすい子もいます。
- 通信環境や機器に左右される:パソコン・タブレット操作が難しいと、親のサポートが必要になることも。
- 細かな表情や動きが把握しづらい:先生がお子さんのちょっとしたサインに気づきにくいこともあります。
オンラインか対面かの判断ポイント
以下のような視点で、お子さんやご家庭に合うスタイルを選ぶと安心です。
| 判断基準 | オンライン向き | 対面向き |
|---|---|---|
| 集中の持続時間 | 画面でも集中できる | 人が近くにいないと集中できない |
| 学習スタイル | タブレット・PC操作が得意 | 手を動かしたり体感で学ぶのが得意 |
| 親のサポート | 親が近くでフォローできる | 先生に任せて離れたい |
| 先生の選択肢 | 地域に合う先生が見つからない | 近所に良い先生がいる |
| お子さんの性格 | 初対面が苦手・自宅の方が安心 | 人と関わることでモチベが上がる |
“両方体験”して決めるのもおすすめ!

最近では、「最初はオンラインで、慣れたら対面へ」や、「対面とオンラインを週ごとに使い分ける」など、柔軟なスタイルで受けられる家庭教師サービスも増えています。
また、無料体験授業を提供しているところも多いため、まずは両方試してみて、お子さん自身の反応を見るのが一番確実です。
母として大切にしたいこと
どちらのスタイルにも一長一短がありますが、最終的に大事なのは「この子が前向きになれるかどうか」です。
- 「今日、ちょっと頑張れた!」
- 「先生がほめてくれた」
- 「自分でもできるかも…!」
そんな小さな成功体験を積み重ねられる環境が整えば、オンラインでも対面でも、きっとお子さんは力を伸ばしていけます。
ADHDを持つお子さんにとって、“家庭教師が合うかどうか”は「教え方」よりも「人柄」「関わり方」に大きく左右されます。
家庭教師は、お子さんにとって初めての自分専用の先生です。だからこそ、その時間が
- 自分を否定されない場所
- わかってもらえる安心感のある場所
- 小さな成功体験を積み重ねられる場所
になることが大切です。
ぜひ、「この子を理解しようとしてくれる人かどうか」という視点を大切にしながら、お子さんにとっての最良のサポーターを見つけてくださいね。


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