潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)という病気は、その名のとおり、大腸に慢性的な炎症が起きてしまう疾患です。
けれど、この病気と付き合っている人にとって、一番の課題は「大腸の炎症」という医学的な表現よりも、「調子のいいときと悪いときの波に、どう向き合っていくか」という、もっと身近な実感なのではないでしょうか。
今回は、「寛解期」と「再燃期」という言葉の意味をかみ砕きながら、暮らしのなかでできる心構えや工夫を紹介していきます。
患者さん本人やその周囲の方の何かのヒントになると嬉しいです!
寛解期ってどんなとき?

「寛解(かんかい)」という言葉は、あまり日常生活では使わない言葉ですよね。簡単に言えば、症状が落ち着いている時期です。
病気が“治った”わけではないけれど、“静かになっている”ような状態です。
たとえば、こんな感じの時期が寛解期です。
- トイレの回数が普通に戻っている
- 下痢や血便が出ていない
- 食べたものがちゃんと吸収されて、体重も安定している
- お腹の痛みや張りが少ない
- なんとなく、日常を気にせず過ごせる日が増えている
「やっと普通の生活に戻れた!」と思える貴重な時間です。
ただし、「もう大丈夫」と思って気が緩んでしまうと、症状が再び出てきてしまうことがあります。
そういう意味では、寛解期は「休息」のときであると同時に、「再燃を防ぐための準備期間」でもあるのです。
再燃期ってどんなとき?

一方、再燃(さいねん)期というのは、「ぶり返し」のようなイメージです。落ち着いていた症状が、また出てきてしまった状態のことをいいます。
再燃のサインは人それぞれですが、よくあるのはこんな感じです。
- トイレの回数が増える(1日5回以上など)
- 血便や粘液が出る
- お腹が痛くなったり、張ったりする
- 微熱やだるさが続く
- 食欲が落ちて体重が減る
再燃期は心身ともに負担が大きくなりますし、仕事や学校、家事育児といった生活にも影響が出てしまいます。
「またか…」というがっかり感もあるかもしれません。けれど、ここで自分を責めないことがとても大切です。
寛解期を「いい状態でキープ」するための工夫
潰瘍性大腸炎は「波」のある病気です。寛解期は、少しでも長く、少しでも穏やかに過ごしたいもの。以下は、生活の中で実践しやすい“無理のない工夫”たちです。
1. 食事は「自分の傾向」を大事に

「○○は食べてはいけない」というルールが多すぎると、ストレスになります。
寛解期のうちに「自分には何が合うのか」「何を食べると調子が悪くなるか」を少しずつ探ってみましょう。
たとえば、
- 揚げ物を食べるとお腹が張る
- 冷たい飲み物を飲むと下痢しやすい
- 食物繊維の多い野菜は少しずつなら大丈夫
といった、自分だけの“体との付き合い方”を知っていく時間にするといいかもしれません。
2. ストレス対策は「逃がし方」を意識
ストレスは再燃の引き金になることもありますが、完全になくすことはできませんよね。
だからこそ、「ストレスをゼロにしよう」と頑張るより、「どんなふうに逃がせばいいか」を見つけるほうが現実的です。
- 気が張る予定の前後は、休息時間をセットにする
- 家の中で“逃げ場”になる空間や時間をつくる
- 自分の感情を話せる相手(家族、友人、カウンセラーなど)を持つ
「うまくやる」より「無理をしない」がポイントです。
再燃期を乗り越えるための心がまえ
再燃が起きたとき、つらいのはもちろんですが、「この時期の自分の扱い方」を知っておくと、心が少しラクになることがあります。
1. すぐに“いつもの生活”に戻そうとしない
再燃が始まると、「明日には治ってほしい」と思ってしまいがちですが、体はそんなに急には回復しません。無理して動き回った結果、さらに悪化してしまう…というケースも少なくありません。
回復には“時間”が必要です。「焦らずゆっくり」を合言葉にしましょう。
2. サポートを「頼む練習」も大切な準備

体調が悪くなると、「誰にも迷惑をかけたくない」「一人でなんとかしなきゃ」と思ってしまう人も多いですが、潰瘍性大腸炎という病気は、“孤独との戦い”にもなりがちです。
- 家族や職場に「もしものときのお願い」を事前に伝えておく
- 通院やお薬のサポートをしてくれる人を考えておく
- 福祉サービス(障害者手帳や難病手帳)の利用も検討しておく
こうした“備え”は、再燃期の自分を守る安心材料になります。
周囲の人に知っておいてほしいこと
潰瘍性大腸炎は、見た目にはわかりにくい病気です。だからこそ、周囲の人が「なんで急に休むの?」「元気そうなのに」と誤解してしまうこともあります。
患者さん本人にとっては、「説明しなくちゃ」というプレッシャーも大きなストレスになります。
もし、あなたの身近に潰瘍性大腸炎の人がいるなら、こんなことを覚えておいてもらえると助かります。
- 症状は日によって変わる(昨日元気でも、今日は動けないことがある)
- 寛解期でも100%元気とは限らない(体力の波がある)
- 食事を一緒に楽しめないときがある(でも一緒にいたい気持ちはある)
ちょっとした配慮や声かけが、支えになります。
理解のある職場に恵まれていないと感じるのであれば、思い切って職場を変えてみるのも方法のひとつ。
プライベートな時間を大切にするためにも、無理なく働ける職場を選べるようにしましょう。
潰瘍性大腸炎の方は就労移行支援の対象となりますので、こちらの記事を参考になさってください。
潰瘍性大腸炎・クローン病だと働けない!?仕事探しには難病就業支援がおすすめ>>


コメント